Carlo Tagliabue (89015)

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Carlo Tagliabue (89015)

CARLO TAGLIABUE (1898 - 1978)

  1. Rossini - Il Barbiere di Siviglia: Largo al factotum (1946)
  2. Bellini - I Puritani: Or dove fuggo io mai? - Ah per sempre (1946)
  3. Wagner - Tannhäuser: O tu bell'astro incantator (1946)
  4. Verdi - Ernani: Oh de' verd'anni miei (1946)
  5. Verdi - Rigoletto: Pari siamo (1946)
  6. Verdi - Il trovatore: Il balen del suo sorriso (1946)
  7. Verdi - Un ballo in maschera: Eri tu che macchiavi (1939)
  8. Verdi - La forza del destino: Son Pereda (1941)
  9. Verdi - La forza del destino: Morir! Tremenda cosa! (1941)
  10. Verdi - Otello: Credo in un Dio crudel (1942)
  11. Bizet - Carmen: Con voi ber affè mi fia caro (1942)
  12. Bizet - I Pescatori di Perle: Il nembo si calmò (1946)
  13. Leoncavallo - I Pagliacci: Si può? (1939)

With Orchestra conducted by Umberto Berrettoni 1 & 3, 12;
Member of La Scala Orchestra, Milan conducted by Umberto Berrettoni 2, 4 - 6;
E.I.A.R. sympyony Orchestra, Turin conducted by Gino Marinuzzi 8 & 9;
Armando la Rosa Parodi 10 & 11; Ugo Tansini 7 & 13

"A settantacinque anni, fresco come una rosa" 「75歳にしてバラのように新鮮」とイタリアのある新聞は、カルロ • タリアブーエが 《ティフェリアーナ科学芸術アカデミー名誉会員》 に選出された際に報じている。彼はイタリアのリリック・バリトンの代表格の一人であり、特にリゴレット、ルーナ伯爵、父ジェルモンなどの役が素晴らしかったが、ヴェルディの重要な役だけでなく、プッチーニ、ジョルダーノ、マスカーニ、レオンカヴァッロ、ザンドナーイ、ペロージ、レスピーギの作品に対する造詣の深さも彼の名声の確立に貢献した。レスピーギの「ラ・フィアンマ」は1934年にローマで初演され、タリアブーエはバジリオを歌っている。さらに「タンホイザー」のヴォルフラム、「ローエングリン」のテルラムント、「トリスタンとイゾルデ」のクルヴェナール、そして「神々の黄昏」のギュンター、これらのミラノ・スカラ座で歌った役によって、85役にも及ぶ幅広いレパートリーの達成に至った。
彼のキャリアは40年以上に及び、その技術(とりわけ完璧なブレス・コントロール)のおかげで、2世代に渡る歌手と共に歌うという、ほんのわずかな歌手にしか成し得られない事が可能となった。こうして彼は、 クラウディア・ムツィオ (89739) 、 マリア・カニーリャ (89131, 89667) と共演した上、カラスとテバルディとも共演し、 ジョヴァンニ・ゼナテッロ (89038, 89575) と ジャコモ・ラウリ=ヴォルピ だけでなく デル・モナコ と ディ・ステファノとも共演したのである。

彼の声は マリオ・サンマルコ (89100) や ジュゼッペ・ダニーゼ (89530) と比較された。前者の声にはスタミナと言葉の明瞭さがあり、後者の声は芸術的な個性と完璧な音域の均一性を持っていた。しかし、このようなエリートの中でほんの一握りの人しか持っていないものは、彼の声の "涙 "であった。彼の芸術性についてジャコモ・ラウリ=ヴォルピは 『Voci Parallele』の中で次のように述べている。 『タリアブーエは・・古典的な歌手ではあるが、今日までイタリアやその他の地においても誰も成し得なかった、彼自身のスタイルを貫いたことは賞賛に値する。彼は「リゴレット」、「仮面舞踏会」、「トロヴァトーレ」、「椿姫」などのオペラがどのように歌われるべきかを理解しているたったひとりの生き残り学徒であった・・・それは節度を持って、かつ優れた芸術の原則に基づいてアリアを歌うということなのである。「イル・トロヴァトーレ」第三幕のアリアの最後のカデンツァ "Sperda il sole d'un suo sguardo la tempesta del mio cor "を聴いてみるがいい。多くの歌手が無意味に叫んでいるこのアリアを、彼のように巧みなレガートとピュアなトーンで締めくくっている歌手が他にいるだろうか?』

カルロ • タリアブーエは1898年1月13日、ミラノの北約30キロの小さな村、マリアーノ・コメンセに生まれた。ギドッティ [Annibale Ghidotti] やジェンナイ [Leopoldo Gennai] に師事し、ミラノの出版社ソンツォーニョ から奨学金を得て、1921年にローディの地で「アイーダ」のアモナズロでデビュー。様々な劇場に出演した後、トスカニーニの招聘により1929年にスカラ座に移った(デビュー役は「ローレライ」のヘルマン)。スカラ座だけでも39役に出演。指揮者にはジョルダーノ、マスカーニ、 ヴィクトル・デ・サバタトゥリオ・セラフィンジーノ・マリヌッツィアントニオ・グアルニエーリアントニーノ・ヴォットー 、そしてカール・ベームは、彼のヴォルフラムの解釈を特に高く評価していた。ローマ、アレーナ・ディ・ヴェローナ、リオデジャネイロ、サンパウロ、リスボン、ヴィースバーデンの五月祭、そしてウィーンは、彼のキャリアにおいてさらなる道しるべとなった。

1936年には、コヴェント・ガーデンのジョージ6世の戴冠式 ガラ・コンサートで歌った。1937年から1939年にかけては、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場に出演し、「アイーダ」〔 ジンカ・ミラノフ (89593, 89622) 、 ベニャミーノ・ジーリ と共演〕、「リゴレット」〔 ヤン・キェプラ と共演〕、「ラ・ボエーム」〔 グレース・ムーアブルーノ・ランディと共演〕に出演した。しかし、彼の本当の芸術の本拠地はスカラ座であり、そのアンサンブルには30年近く所属し、1958年にジェルモン〔マリア・カラス、 ジャンニ・ライモンディ と共演〕として別れを告げるまでの間、彼はずっとスカラ座に所属していた。彼はこの栄光あるスカラ座の歴史の中で最も著名な人物の一人であったことに間違いない。最後の公演は1962年にフォルリで行われ、64歳の時に「パリアッチ」のトニオ役でオペラの舞台に別れを告げた。亡くなるまでモンツァの美しい家に住み、常に若い歌手に助言と援助を惜しまなかった。
[Erwin Abel]

タリアブーエの声は本当に若々しい。「75歳にしてバラのように新鮮」というのは決して誇張ではなかったのでしょう。フィガロの発止とした語り口は若々しいだけでなく切れ目なく続きます。ブレスしていないのではないかと疑いたくなるほどです。このブレス・コントロールはすごいと思います。ほとんどの歌手ははっきりわかる形でブレスして歌っています、それが普通でもちろんそれで十分なわけです。そこを越えているのがタリアブーエのすごいところです。このCD全曲を通じて、曲のフィナーレを延々と伸ばす傾向は一定していて、そこまでやるか! と思うほどです。実際伸ばしすぎなのかもしれませんが、これも愛嬌でしょうか。
ヴォルフラムは、カール・ベームのお墨付きを得ただけのことはあって、"O du mein holder Abendstern" が "O tu bell'astro incantator" になっても情感深いワーグナーだと思います。同曲を歌っている歌手を YouTubeで何人か聴いてみましたが、ディースカウの堅苦しいヴォルフラムよりも好きですね。Hvorostovsky のステージでは叩きつけるようなひどい歌い方でした、スタジオ録音ではこんな歌い方はしていないんですけど。
ところで、収録されている曲の約半数が1946年の録音です。前年に戦争が終わったばかりです。スカラ座のメンバーから編成されたオーケストラが伴奏している曲もあります。仮に録音がイタリアの国外、例えばイギリスで行われたとしてもイタリアは日本と同じ敗戦国なのになぜそんな余裕が?・・・やはり、日本はヨーロッパ民族からは遠い国なんですね、地理的にも人種においても。
さて、そんなことを考えているうちに、曲はヴェルディの真っ只中、血が湧き上がるような熱唱が続きます。タリアブーエは高音に張りがあって、その意味ではハイ・バリトンとも言えますが、通常のバリトンの音域では紛れもなく迫力あるバリトンの声です。このあたりが、新鮮な声の秘訣なのではないでしょうか。
もっとたくさん聴いてみたい歌手ですが、Lebendige Vergangenheit ではタリアブーエのCDは一枚だけです。

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