Gino Bech I (89009)

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Gino Bech I (89009)

GINO BECHI (1913 - 1993)

  1. Verdi - Rigoletto: Quel vecchio maledivami (1943)
  2. Verdi - Rigoletto: Cortigiani, Vil razza dannata (1941)
  3. Verdi - Rigoletto: Ah! solo per me l'infamia (1943)
  4. Verdi - Il trovatore: Il balen del suo sorriso (1941)
  5. Verdi - Un ballo in maschera: Eri tu (1941)
  6. Verdi - La forza del destino: Solenne in quest'ora (1943)
  7. Verdi - La forza del destino: Invano Alvaro (1943)
  8. Verdi - Otello: Credo in un Dio crudel (1946)
  9. Verdi - Otello: Era la notte (1946)
  10. Verdi - Don Carlos: Io morrò, ma lieta in core (1949)
  11. Verdi - Falstaff: L'onore! Ladri! (1951)
  12. Leoncavallo - I Pagliacci: Si può? (1946)
  13. Catalani - La Wally: T'amo ben io (1941)

co-starring - - - Tancredi Pasero 1 Gina Bernelli 3 Giacomo Lauri Volpi 6, 7
With Orchestra of the Opera House, Rome conducted by Luigi Ricci 1
With Members of La Scala Orchestra, Milan conducted by Umberto Berrettoni 2, 4&5, 13
With Orchestra conducted by Umberto Berrettoni 3
With Orchestra of the Opera House, Rome conducted by Renato Arduini 6&7
With Orchestra Stabile Accademia di Santa Cecilia conducted by Antonino Votto 8&9
With Orchestra Stabile Accademia di Santa Cecilia conducted by Vincenzo Bellezza 12
With Milan Symphony Orchestra conducted by Argeo Quadri 10&11

長年にわたり、ひとつのタイプの歌手が大勢活躍していながら、長期間ほとんど消えているように見えるのは驚くべきことである。例えば、ずっと以前にどれだけ多くの実力派コロラトゥーラ・ソプラノがイタリアにいたことか . . . アメリータ・ガリ=クルチトーティ・ダル・モンテ (89001, 89143) 、 エルヴィラ・デ・ヒダルゴマリア・ジェンティーレ (89611) 、 マルガリータ・サルヴィメルセデス・カプシール (89157) 、 グラツィエラ・パレート (89181) 、 ルイザ・テトラッツィーニアンナ=マリア・グリエルメッティ . . . それほど有名でない歌手を含めれば、 リーナ・ロメッリヌヌ・サンキオーニヒルデ・レッジアーニラウラ・パジーニリーナ・アイマーロエルダ・リベッティ 等、枚挙にいとまがない。今日、この伝統を引き続き受け継いでいるのは ルチアーナ・セッラただひとりなのである。

これはイタリアのバリトンについても同様である。1920年代だけを例に見ると、 マッティア・バッティスティーニ (89045, 89725) 、 アントニオ・スコッティパスクアーレ・アマート (89064, 89182) 、 マリオ・サンマルコ (89100) 、 リッカルド・ストラッチャーリ (89003, 89532, 89568) 、 ジュゼッペ・ダニーゼ (89530) 、 ティッタ・ルッフォ (89607) 、 ヴィリオーネ・ボルゲーゼ (89513) 、 エンリコ・デ・フランチェスキベンヴェヌート・フランチ (89123) 、 ルイージ・モンテサントカルロ・ガレッフィ (89040, 89536) 、 マリアーノ・スタービレ (89180) 、 エンリコ・モリナーリ (89129) 、 マリオ・バシオラジャコモ・リミニジュゼッペ・デ・ルカ (89036, 89073, 89135, 89560) . . . .すべてイタリア人で、1930年代にはまだ一流の現役歌手だった人もいた。しかし、多すぎるほどだった状況にもかかわらず、突然傑出したバリトンがほとんどいなくなり、1940年代には、これらのほとんどの歌手は姿を消してしまったのである。この頃にはほんのすこしの歌手がイタリア人バリトンの伝統を継承していたにすぎず、そのひとりがジーノ • ベーキだった。

ジーノ • ベーキはフィレンツェ音楽院で ラウル・フラッツィ に師事し、その後、デ・ジョルジ (De Giorgi) にも師事した。デビューは1936年にエンポリで行われた「椿姫」のジェルモンである。彼はすぐに大きな関心を集め、1年を経ずしてローマ歌劇場と契約した。その後すぐにミラノのスカラ座で歌い始め、ガレッフィとフランチの後継者と目された。レナート(仮面舞踏会)やアモナズロ(アイーダ)などイタリアのレパートリーの主要な役を歌っただけでなく、すぐにサロメのヨカナーンとして舞台に立った。ロッカの「モンテ・イヴォール」(1938年)やアルファーノの「ドン・ファン・デ・マナラ (1941)」(「ドン・ジョヴァンニの影 (1914)」の改訂版)などの新作オペラの初演では、その音楽性の高さが注目され、主要なレコーディング・スタジオからも注目された。『100 La Voce del Padrone』 (HMV; His Master’s Voice) が、『カヴァレリア・ルスティカーナ』世界初演50周年を記念して、作曲家自身が指揮した全曲録音にアルフィオ役として起用された。共演は リーナ・ブルーナ・ラーザベニャミーノ・ジーリ

他の3つの全曲録音では、再び ジーリとの共演が実現している。「アンドレア・シェニエ」(1940年)、「仮面舞踏会」 (1943年)、そして最後に「アイーダ」(1946年)である。これらの重要な全曲録音の他にも、ラウリ・ヴォルピ (89012, 89133) や他の歌手とのデュエットやソロ・レコーディングも数多く行っている - - - これらは全て LPレコードで復刻されている。LP の時代になった後では、ロッシーニの「セビリアの理髪師」をヴィクトリア・デ・ロスアンヘルス、ニコラ・モンティ と共に録音した。1977年には、La Voce del Padrone (HMV; His Master’s Voice) か ヴィンチェンツォ・ベレッツァ の指揮で1949年に制作された『カルメン』の完全録音がリリースされた。

印象的でハンサムな俳優としても秀でていたため、映画界が彼に興味を示した。彼は多くのオペラ映画に出演しているが、「帰れソレントへ」のような主役級の映画にも出演している。残念なことに、これらの映画は戦争中にイタリア国外で上映されることができなかったため、国際的に活躍するには戦争が終わった後でなければならなかった。ベーキはブエノスアイレスのコロン劇場やリオデジャネイロの劇場にも客演した。1950年にミラノのスカラ座がロンドンのコヴェント・ガーデンで公演を開始したときには、彼はスカラ座のトップバリトンとして活躍した。
南米では、ティッタ・ルッフォ が引退した後、すっかり忘れ去られてしまっていたトマの「ハムレット」のタイトロールが最も重要な役の一つであったが、ロッシーニの「ウィリアム・テル」でもベーキは見事な主人公を演じていた。北米での出演は1952年のシカゴとサンフランシスコのみで、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場との契約はなかった。
ベーキのキャリアは 1965年まで続き、その後はフィレンツェで声楽指導に専念した。このような適性から、例えばオランダのスヘルトーヘンボスなどの重要な声楽コンクールでは、審査員として高い信頼を得ていた。
キャリアの中で、彼はしばしばティッタ・ルッフォと比較されたが、事実、二人の声は、彼らが選んだレパートリーと同様に非常に似ていた。ベーキはイタリア最後の英雄的バルトンの一人であり、このジャンルにおける決定的な後継者はいまだに見つからない。
[Leo Riemens]

確かに、、ジーノ • ベーキは英雄的バリトンですね。このタイプのバリトンは現在のイタリアにも少ないのかも知れません。この声域はロシアと東欧です。最近若くして亡くなってしまいましたがホヴォロフトフスキーが堂々としていて素晴らしかったですね。ブッフォも世界的に有名なバス・バリトンはイタリアに限ると一世代にひとりか二人でしょうか。
さて、このディスクですが、ヴェルディがずらりと並んでいます。男らしいアリアや二重唱がたっぷりのヴェルディはジーノ・ベーキにぴったりではないかと思います。とにかく歌のスケールが大きい。現代の歌手の方が性格表現をもっと重視した歌い方だとは思いますが、スケールが大きいのでそんなことは些細なことです。
1曲目、Rigoletto: Quel vecchio maledivami では、殺し屋のタンクレディ・パゼロに負けそうですが、さすがの二重唱だと思います。ヤーゴも、最近の歌手はもっと悪巧みを秘めた歌い方をするのかも知れませんが、これも程度の問題で賛否両論あると思います。そして、ファルスタッフは滑稽さだけでなく堂々としていていい。
ところで、ライナーノーツの冒頭でバリトンとは無関係と思われるようなコロラトゥーラ・ソプラノの記述が長々と続くのですが、書かれていることは確かにもっともなことで、僕はルチアーナ・セッラが大好きです。ですから、セッラについて少し書いてみます。最初に聴いたのは、ロッシーニの「パルミーラのアウレリアーノ」のゼノービア(ゼノビア)女王です。テクニックが素晴らしく、その上、声も美しい。LPレコードでしたので、ひっくり返しひっくり返し何度も聴きました。彼女は、いわゆるメジャー・レーベルとの契約がありませんでした。いくつかのライブ録音がマイナー・レーベルからリリースされています。LPからCDに復刻されるのもとても待たされました。似たような歌手がいないのですが、ナタリー・デセイ(ドゥセ)のドニゼッティをイタリア人歌手が歌った感じ・・・初期の頃のグルベローヴァともちょっと違う。芸達者のところはジョイス・ディドナートやエヴァ・メイのソプラノ版・・・みたいな歌手です。メジャーな歌劇場では夜の女王やオランピアを歌うことが多かったのですが、ルチアーナ・セッラの本領が聴けるのはロッシーニやドニゼッティです。

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