Sampler 2000
2000年5月に発売されたサンプラーCDです。Lebendige Vergangenheit シリーズは LP時代から引き継がれ1990年代からCDによる発売が始まったのだと思います。サンプラーCDには2000年までに発売されたCDの中から歌唱・録音共に優れた音源が収められています。
- Frida Leider - Don Giovanni: Or sai chi l'onore (1928)
- Richard Tauber - Die Zauberflöte: Dies Bildnis ist bezaubernd schön (1938)
- Alexander Kipnis - Die Zauberflöte: O Isis und Osiris (1930))
- Lotte Lehmann - Die Hochzeit des Figaro: Heil'ge Quelle (1928)
- Apollo Granforte - Il barbiere di Siviglia: Largo al factotum (1928)
- Conchita Supervia - La Cenerentola: Nacqui all'affanno (1927)
- Tancredi Pasero - La Sonnambula: Vi ravviso, o luoghi ameni (1936)
- Tito Schipa - L'elisir d'amore: Adina, credimi (1928)
- Giannina Arangi Lombardi - Lucrezia Borgia: M'odi! ah! m'odi (1933)
- Giuseppe De Luca - La Traviata: Di Provenza il mar, il suol (1929)
- Hina Spani - Il Trovatore: D'amor sull'ali rosee (1928)
- Aureliano Pertile - Il Trovatore: Ah! si, ben mio coll'essere (1927)
- Ezio Pinza - Don Carlo: Dormiro sol nel manto mio regal (1927)
- Ebe Stignani - Don Carlo: O Don fatale (1940)
- Lauritz Melchior - Tannhäuser: Dir tone Lob (1930)
- Elisabeth Rethberg - Tannhäuser: Dich teure Halle grüß ich wieder (1927)
- Giacomo Lauri Volpi - L'africana: O Paradiso! (1934)
- Marcel Journet - La Jolie Fille De Perth: Quand la Flamme de L'amour (1925)
- Fernand Ansseau - Carmen: La fleur que tu m'avais jetée (1927)
昔はイタリアオペラもドイツ語圏で上演される時はドイツ語で歌唱されたので、オーストリアの PREISER RECORDS - Lebendige Vergangenheit - もそのような音源がかなり多いのですが、このサンプラーでは Die Hochzeit Des Figaro が目につくくらいで例外的に少ない気がします。どの一曲を聴いてもがっかりすることはないのですが、ジャケット写真に掲載されている歌手を選んで聴いてみます。上段左から順に、
Alexander Kipnis, Elisabeth Rethberg, Giuseppe De Luca
Frida Leider, Lotte Lehmann
Ezio Pinza, Giacomo Lauri Volpi, Tito Schipa
アレクサンドル・キプニス (89019, 89107, 89130, 89166) のザラストラは安定したバスなので何の不安もなく安心して聴いていられるし、ことばも明瞭です。
エリーザベト・レートベルク (89051) が歌うエリーザベトの "Dich teure Halle grüß ich wieder" はどこまでも清く伸び、しかも声色が暖かいのでいつまでも聴いていたくなります。
ジュゼッペ・デ・ルカ (89036, 89073, 89135, 89560) の "プロヴァンスの陸と海" は素晴らしい。"威厳"とは遠く隔たり、気品に溢れている。なるほど、本来このような父親だったのかと今までの自分の勝手な解釈を覆すものとなりました。
フリーダ・ライダー (89004, 89098, 89509) はこのシリーズのごく初期に最初のアルバムがリリースされ、主にワーグナーを歌っていましたが、その中にもドンナ・アンナが一曲入っていました。ワーグナー歌手だけあって力強い歌唱は驚くばかりですが、モーツァルトを歌ってもほんのりとワーグナーの香りがします。
ロッテ・レーマン (89189) の伯爵夫人、ドイツ語歌唱なので現代人には違和感がありますが 40歳の時の録音ですから円熟期の声を聴くことができます
エツィオ・ピンツァ (89050, 89085, 89132, 89660, 89707) の「ドン・カルロ」ではフィリッポ二世の苦悩が深いバスによって沈み込むように歌われます。引き続き聴けばこの次のトラックの エベ・スティニャーニ (89014) の力強い歌唱が素晴らしいし(同じく「ドン・カルロ」)、次の ラウリッツ・メルヒオール (89032, 89068, 89086) のタンホイザーにも圧倒されます・・・このサンプラーCD1枚で90年前のレジェンダリーオペラ歌手の圧倒的な力の一端を知ることができますが、これは一枚のサンプラー、まだまだその入り口に過ぎないのです。
話が逸れましたが、次の ジャコモ・ラウリ=ヴォルピ (89012, 89133) は「アフリカの女」の O paradiso! を叙情深くかつ朗々と歌い上げます。
ティート・スキーパ (89160, 89171, 89564, 89594, 89709) ははっきりした顔立ちから受ける印象とは違って誰をも魅了する甘い声です。
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